政治的人間に関する伝記として極めて稀なことに面白い、と聞いて読んでみた本。フランス革命期~帝政期に警務大臣として活躍し、一瞬のみとはいえフランスの全権を手にするまでに至った、裏切り者、変節漢、サン・クールーの風見、ジョゼフ・フーシェの伝記。
フーシェについてはヤングアニマル連載のナポレオン漫画ではじめて知った程度の知識だが、その漫画の記述もかなりの部分は元ネタはこの本なのかな。フランス革命期~帝政期の政治動向がわかっていないとすんなり読めないところも多い。ただ、その流れを、フーシェ視点から見るというのがとてもおもしろい。信念もなにもなく、自身の権力欲や性格のために、時の最高権力者相手であっても見え見えの面従腹背(面従すらしていないことも多い)で対応する。相手もこいつ絶対裏切るし余計なことしてる、ってわかっているんだけど、使えるから切るに切れない。ピカレスク小説を読んでいるかのような気分。これは確かに、面白い。
読書状況:未設定
公開設定:公開
カテゴリ:
小説・文学
- 感想投稿日 : 2018年1月6日
- 本棚登録日 : 2018年1月6日
みんなの感想をみる