帰って来たヒトラー下

制作 : 森内薫 
  • 河出書房新社 (2014年1月21日発売)
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本棚登録 : 22
感想 : 5
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上下巻一気読み。生協で見かけて、ネットで評判になっていたことを知り、Kindle版を買ってみた。
突然、死ぬ直前の記憶を失ったヒトラーが現代ドイツに蘇った(タイムスリップしてきた?)ことから始まる、ヒトラー視点一人称のコメディ。
当然、周囲の人々は誰もヒトラー本人だとは思わず、非常によく似たコメディアンだと思って接し始める。ヒトラー本人はまったく嘘をつかないまま、周囲の状況を手早く把握し、現代ドイツをなんとかしようと画策し動き始める・・・。

・・・というとそこからヒトラーの快進撃がはじまって、みたいな架空戦記みたいな展開には、全然ならない。
普通にテレビ番組でコメディアンとして、突撃取材番組なんかをやりながら人気者になっていく。
それを読みながら、著者もあとがきで言うとおり、だんだんとヒトラーに感情移入していくことになる。
そりゃ物語の主人公に肩入れするのは当然なんだけど、それがヒトラーとなると感情移入してしまっていいのか、そしてどうもこのふるまい方は生きていた時の当人の動きとも似ていて、となると周囲が彼の言動を自分に都合がいいように理解して接することも・・・とか、考えだすと単なるコメディにとどまらないなあ、という話。
よく現代ドイツでこれ出版したな。そりゃ話題になるわ。
著者の次回作にも期待したい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説・文学
感想投稿日 : 2014年12月31日
読了日 : 2014年12月31日
本棚登録日 : 2014年12月31日

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