優午が自ら未来がわかる案山子をやめたのは、人がいやになったから、もう未来を見ること、それを頼りにされることに疲れたから。そうじゃないような気がします。優午はいつかくる外の世界の人間が島に欠如しているものを持ってくることを知っていた。だけどそれが何かを優午は知っていてもわからなかった。だからこそ、彼は例え自分の存在がなくなってしまうのだとしても、せめて頭だけでも丘に行きたいと願ったのではないかと、そう感じました。面白いのは桜と優午の関係性はどういうものだったのかということ。もしかしたら、リョコウバトの事件で優午は人に嫌気を指していたのかもしれません。そして桜も人の価値を高くはもっていなかった。ならば二人は同じ未来を望んでいたのかもしれない。そう考えると本当におもしろいです。何にせよ、読んだ後にすがすがしさを感じさせる話でした。
読書状況:積読
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伊坂幸太郎
- 感想投稿日 : 2012年12月1日
- 本棚登録日 : 2012年12月1日
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