子どものころからなぜかケストナーを敬遠してきたんだけど、ほんとにざんげしたくなった。ストーリーももちろんいいんだけど、ケストナーの地の文がほんとにいい。子どもに対しても大人に対しても、同じように人生の真実を説教くさくなく、でも甘ったるくもなく、ざっくばらんにユーモアを交えてかたるという。この本が、もう戦後4年の1949年にドイツで(ケストナーはナチスに目をつけられていて、いつひっぱられたり暗殺されたりしてもおかしくなかった)発表され、翌年には岩波少年文庫の第1回配本で邦訳された(当時は高橋健二訳)って考えるとほんとうに胸が熱くなる。
「この世には、離婚した親がたくさんいる、そういう親のもとでつらい思いをしている子どももたくさんいる、また逆に、親たちが離婚しないためにつらい思いをしている子どももたくさんいる」
という状況の親子を描いた物語。お父さんと、あの若い女の人の緊張感あふれるやりとりとか、セリフもぜんぜん子どもに対して手加減してなくてすてきだった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
児童書
- 感想投稿日 : 2018年3月21日
- 読了日 : 2018年3月21日
- 本棚登録日 : 2018年3月21日
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