とても繊細でこまやかな物語。
1999年の春休み、12歳のアミーリアは、ほんとうはフロリダに行きたかったのに、英文学教授の父がちっとも話に乗ってくれないので、つまらない思いをしながらも、近所の陶芸教室にかよいます。
アミーリアは2歳のときに母を亡くしていて、しかもいちばんの親友がフランスへひっこしてしまったばかり。ゆううつな気持ちでいたとき、陶芸教室で新しい友だちと出会い、また不器用な父の愛情をたしかめることになる出来事に遭遇します。
陶芸教室の粘土の感触が伝わってくるような。たよれるものが何もなくなってしまったアミーリアの生活のなかで、粘土をこねてウサギを作るというのは、目の前の世界とのたしかなつながりを表しているみたい。
作品中には「イースター」という言葉はたしか出てこなかったと思うけれど、やはりこの春の時期でウサギといえばイースター。家族の再生の物語を象徴しているように思えます。
アミーリアにとって、もうひとつたしかな、たよれる存在は、物心つかないころから通いでめんどうを見てくれているオブライエンさん。近所の家の女性なのですが、もう家族のよう。
そうなると、物語の展開上、オブライエンさんの今後も気になってしまうのでした。年齢が書いていないからなあ。これからもお手伝いさんとして通ってくれるのかな。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
児童書
- 感想投稿日 : 2021年7月19日
- 読了日 : 2021年7月10日
- 本棚登録日 : 2021年7月10日
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