岩波文庫的 月の満ち欠け

著者 :
  • 岩波書店 (2019年10月5日発売)
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本棚登録 : 8138
感想 : 671
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佐藤正午の名前は知っていたけど、岩波文庫的という斬新な試みで、初めて手に取った。

平たく言うと、生まれ変わりのお話。

夫には、子供を作る機械のように扱われている瑠璃が、想いを懸けた相手を探して。
何度も、名前も、死を重ねては、転生する。
三角くんに会うために。

けれど、三角くんが順調に人生を送れば送るほど、瑠璃の「失敗」は彼との距離を遠くする。
それでも、それでもと追いかけることは、もはやロマンスではなくホラーだということを、誰もが見て見ぬ振りをする。

女は、娘の恋をどこかで女として共感し。
男は、生まれ変わってでも一緒に在ろうとする想いに、嫉妬し、打ち勝とうとする。

人が常であろうとすることは、結局のところ、醜いのかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2019年
感想投稿日 : 2019年10月13日
読了日 : 2019年10月13日
本棚登録日 : 2019年10月13日

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