佐藤正午の名前は知っていたけど、岩波文庫的という斬新な試みで、初めて手に取った。
平たく言うと、生まれ変わりのお話。
夫には、子供を作る機械のように扱われている瑠璃が、想いを懸けた相手を探して。
何度も、名前も、死を重ねては、転生する。
三角くんに会うために。
けれど、三角くんが順調に人生を送れば送るほど、瑠璃の「失敗」は彼との距離を遠くする。
それでも、それでもと追いかけることは、もはやロマンスではなくホラーだということを、誰もが見て見ぬ振りをする。
女は、娘の恋をどこかで女として共感し。
男は、生まれ変わってでも一緒に在ろうとする想いに、嫉妬し、打ち勝とうとする。
人が常であろうとすることは、結局のところ、醜いのかもしれない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2019年
- 感想投稿日 : 2019年10月13日
- 読了日 : 2019年10月13日
- 本棚登録日 : 2019年10月13日
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