相模原障害者殺傷事件 (文庫)

  • 朝日新聞出版 (2020年7月7日発売)
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本棚登録 : 198
感想 : 23
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人間を人間を見なさない、そんな出来事や事件は数多あって。
けれど、この事件では「自分がそれをしなければならない」いわば正義の代弁者的理由で、多くの人を殺したという点で気になっていた。

彼の言う「幸せな社会」とは、何を指していたのか、結局最後まで分からなかった気がする。

始終、「迷惑をかける」ことに敏感だったようだから、誰かが誰かに苦労を強いない、そんな社会を幸せだと言いたかったのだろうか。
そして、果たして、そうだろうか。

周りと「言葉が通じなく」なったと書いているけれど、強固な世界観に閉じ、誰の言葉も耳を傾けようとしない彼もまた、彼自身が忌み嫌う意思疎通の出来ない存在に近い、何かだとは言えないか。
そうした殻の中で、精神的な成長が止まってしまったようにも思うのだ。

すると彼の掲げる正義とは、現代社会に根差すものなんかではなく、ただの「イタい人」でしかないように思ってしまったのだった。
敢えて矮小化した言葉を用いたが、そんな物言いをしても事件に取り返しがつくわけではなく、ただ苦しい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2020年
感想投稿日 : 2020年7月23日
読了日 : 2020年7月23日
本棚登録日 : 2020年7月23日

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