ふくわらい (朝日文庫)

3.62
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本棚登録 : 1896
レビュー : 211
著者 :
mitsukiさん 2015年   読み終わった 

変わり者、と言ってしまえばそれまでの編集者、定。

ふくわらいをキッカケに、人の顔に飽くなき探求心を持ち、だが一方で人との関わり方を知らずにいる主人公である。
私には分からない世界だけど、人の顔のパーツに執着する人の話を聞いたことがある。なので、意外と彼女の共感者は多いのではないかと思う。

彼女が見つめる顔は、彼女自身が空想のなかで千変万化させ、操る術を持っている。
つまり一方的なコミュニケーションしか成り立っていないのだと思う。だからこそ物語のはじめ、定の会話と地の文には隔たりがある。
会話の内容と、彼女の視点が一致しない。

けれど、定を魅了する顔の持ち主であるプロレスラーや、定に一目惚れしてしまう盲目の男性、更に一般的美女である同僚との関わりによって、定は変化していくのだった。

特に、定が視覚に拘りを持つことと、盲目の男性が彼女に恋をすることの裏腹さは面白い。
また、身体性と言葉を作品の中で、うまくテーマにしている。タトゥー、人肉、嘔吐、病。
ラストになると、会話と地の文は一致を見せはじめる。物語ってこういうものだな、と、楽しませてもらった。

レビュー投稿日
2015年9月6日
読了日
2015年9月6日
本棚登録日
2015年9月6日
6
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