表紙のポップさを想像して読むと、内容は案外ビターな短編集。
自分的に印象に残ったのが、「ダナエ」と「猫別れ」です。
「ダナエ」
最初はあまり良い印象のなかった、青い隈をたたえる女性店員。
彼女が倒れ込んだのを、視点人物である裕福なサラリーマンが支え、家に連れて帰る……という流れはややベタなものかもしれない。
なんだろう……侵し難い聖域を持つ女、と表現すれば良いのだろうか。
彼女の描かれ方が、なんだか私の中でしっくり?きたのだった。
「猫別れ」
これはもう。クライマックス!
認知症気味の祖母、引きこもり気味の娘、全ての調和に思いを馳せる母、そして猫。
さて、どうまとめる?と思うのだけど。
コミュニケーションって、言葉だけではない、思いだけというわけでもない、その微妙な部分が最後にフワッと浮かび上がってくる。
ここが、すごく良かった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2021年
- 感想投稿日 : 2021年11月29日
- 読了日 : 2021年11月29日
- 本棚登録日 : 2021年11月29日
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