ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)

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本棚登録 : 10171
レビュー : 1291
著者 :
mitsukiさん 2019年   読み終わった 

「梟書茶房」さんで、出会った一冊。

中身が分からないままに、キーワードは小学生と哲学……『君たちはどう生きるか』か?と思っていたら、まさかの辻村深月で驚いた。

クラスメイトのふみちゃんが何より可愛がっていた、小学校のウサギが惨殺された。
そして、その惨状を目の当たりにしたふみちゃんは、心神喪失に陥ってしまう。
一方、主人公の「ぼく」は、条件と罰則によって相手を従わせる「声」の力を持っていることを知っている。
その力を使って犯人を罰するために、同じ力を持つ大学教授、秋山先生からその力について教えを受けることになる。

あらすじをまとめると、なんだか現実離れしたような設定に見えるのだけど。
「ぼく」が秋山先生との対話の中で、「声」の重みに触れていくシーンに比重がかけられていて、ここから一体どんな「結論」を出すのかと、ハラハラしながら読み進めていった。

罰することが、暴力にならない条件とは何なのだろうか。
自身が正しいと思い、他者に判断を下すとき、“それ”が独善ではないと、どうやって分かるんだろう。

そして自分なら、この作品の中の犯人、市川雄太にどんな罰を与えようと、考えるだろう。
そう思ったとき、主人公がふみちゃんにもらったメジャースプーンの意味が、よく分かる気がした。

クライマックスにおける、「ぼく」の結論と真意には、正直動揺させられた。
成長したなあと思う気持ちもあるが、果たしてそれを勇気と讃えていいものかどうか、私には分からなかった。

けれど、結局その結論とは相入れず、落としたメジャースプーンが、巡り巡って手元に戻ってくることが、この本の、ひとを見放さない素敵な部分だと思う。
ぜひ、一緒に唸って、考えて欲しい作品です。

レビュー投稿日
2019年6月28日
読了日
2019年6月28日
本棚登録日
2019年6月28日
3
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