向こう側の遊園 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2014年6月13日発売)
3.80
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本棚登録 : 297
感想 : 31
3

気になっていた、初野晴。

廃園になった遊園地には不思議な噂があって、ワケありの動物を弔ってくれる青年がいるという。

相手の心を覚り、嘘が嫌いなその青年との問答で進む連作短編集。
「真実が語られる」というギミックが、ありえない世界であっても、現実に持ち込むことが出来る要素になっていて、面白い。

単なる動物愛情物語に終わらせず、動物にまつわる過酷な状況も描かれている。
陳腐な感想だが、人間のエゴを直視させられるしんどさがある。また、ミステリーとしても、とても巧みな作りをしている。

基本的には廃墟の遊園地という、変わった場所が舞台になるのだが、登場人物によって語られるシーンが鮮やかに想像できる。

シリーズ作品にも手を出したくなる、読み応えのある小説だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2014年
感想投稿日 : 2014年6月28日
読了日 : 2014年6月28日
本棚登録日 : 2014年6月28日

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