学び続ける力 (講談社現代新書)

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本棚登録 : 2074
レビュー : 300
著者 :
mitsukiさん 2017年   読み終わった 

システムに乗っかっていると、「なぜ自分はこれをしているのか」という疑問さえ生まれない、ある意味では平和な精神状態が揺蕩う。

考えなくとも、責めなくとも、ただあるがままの事態に身体を委ね、思考を浸していることは、ラクだ。

けれど、そのことに虚しさを感じる時があるのなら、こういう本を読んで勇気を持てば良いと思う。

東日本大震災の際、原発に関する専門的知見が、一般大衆には分かりにくい、不安を拭えないものであったという指摘は、以前にも誰かの本に書いてあり、多くの人はそう感じていたことを知った。
専門外の人に対しても、分かりやすく説明する使命を池上さんは感じたようだけど、受け取る側にも一定の姿勢が必要だと思う。

それが、この本にもある、謙虚さや批判だ。
この二つは真反対のことのようで、受け取り方と、受け取ってからの調理の仕方という一連の流れでもある。

謙虚に受けとめたからといって、いつもそのまま吞み下す必要はない。
また、的確な批判は、ていねいな聞き取りから始まるように思う。

話をする立場の人間から感心させられたことは、学生にどう話すかのくだりだ。

時代の空気感を伝えられるように。
見えない感覚を言葉で表現できるように。
その場の雰囲気から、話題を変えられるように。
より具体的な内容の話を交わすことで、相手からも具体的な内容の返答を得られる。
など。あ、これは考えに入れておきたいな、と感じるコツが幾つもあった。

何のために学ぶか、という問いに真正面から向き合っている人はどのくらいいるのだろう。
全ての国民が、義務としての教育を受けながら、学びのシステムの中で、満たされているのだろうか。
空虚さを感じてはいないだろうか。

システムとしての教育に満足出来るのであれば、その人にとって教養は意味を持たないものだと、私は思う。
ならばなぜ学ぶのか、を自分の内側に当てた時に、世の中にある目もくれなかったものに、光が当たるのかもしれない。

レビュー投稿日
2017年9月16日
読了日
2017年9月16日
本棚登録日
2017年9月16日
5
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