春琴抄 (新潮文庫)

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レビュー : 743
著者 :
mitsukiさん 2014年   読み終わった 

再読。

盲目の美女春琴と、彼女を敬愛する丁稚であり弟子、佐助。
春琴の美と性質が此れ程際立つのは、佐助という「盲目的信者」のお陰である。

春琴もまた、その存在がいて己が成り立つことを本能的に悟っている。
女であることを感じ、盲目という弱みを美に換えてゆく狡さを持ちながら、月日という抗い難い流れの中で「自身」を見つめることはきっと恐怖であっただろう。

利太郎の復讐は、神が二度目に与えた罰であったのかもしれないが、結果的に春琴は恐怖から脱することが出来たのではないだろうか。

終始、地味な存在である佐助だが、彼女を救うという点で誰にも真似の出来ない立ち位置を築く。
ただ、それが非常なマゾヒズムを伴うところに谷崎イズムが感じられて素敵だと思うのだ。

恋や愛は、純であることよりも歪であることの方が色香を伴う。

その中で、雲雀だけが爽やかに見え。
歪の中にある、純を感じさせてくれる。

レビュー投稿日
2014年7月29日
読了日
2014年7月29日
本棚登録日
2014年7月29日
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