中国行きのスロウ・ボ-ト (中公文庫 む 4-3)

著者 :
  • 中央公論新社 (1997年4月18日発売)
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感想 : 415
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「カンガルー通信」が読みたくて、購入。

独特の比喩が、分かるようで分からん!
ブラームスとマーラーを間違えて買ったことを、レシートもなく一週間後に気付いた女性は、果たしてこのテープをどのように聴くだろう。
いや、その前に、聴くのだろうか。
そもそも、送られているのだろうか。
村上春樹を読むと、無性に自分の文章に傍点を打ちたくなる。

ただ、目的の「カンガルー通信」は思っていた話ではなかったんだけど、「中国行きのスロウ・ボート」に自分を重ねてしまった。
私も、アジア系の女の子にどの地下鉄に乗ればいいか聞かれ、反対方向に向かう電車に乗せてしまったことがあった。
その「グロテスクで意味のない間違い」は、確実に私の心に残っている。
お互いに、何の悪気がなくとも、本当にふとしたボタンのかけ違いのような何かが積み重なって、気付けばハッキリとした間違いを描くことがある。
こうすれば良かったとか、こういうことだったんじゃないかとか、自分なりに反省をするんだけど、あの時のしまった感は、彼女を大きく傷つけ、「あの人はわざとそうしたのではないか」という答えに導かれたのではないかという、しまったのような気がする。

他のどの話も、やっぱり分かるような分からないような展開が待っていて、面白い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2018年
感想投稿日 : 2018年10月14日
読了日 : 2018年10月14日
本棚登録日 : 2018年10月14日

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