構成としては好き。
ある一夜を巡る、双子の男女。
でも、既に一緒に住んでいた部屋は片付けられていて、二人はお互いに「相手が殺人を犯した」ということを切り出そうとしている。
そのことに怖さもあるのだけど、それが本当であれば、二人を繋ぎ続ける枷にもなるという、かなり危険な悦びを匂わせる。
面白いなあと思うのは、交互の視点で話は展開しているはずなのに、少しずつ場の重力がアキ側にシフトしていく所だ。
一方でヒロは、どんどん真実からもアキからも置いていかれてしまう。
ま、アキから逃げようとしながら、アキの気持ちの端っこも掴んでおきたい、なんて考えているのだから、全然構わないけどね。
結局のところ、二人の父親がどういう末路を辿ったのかは、アキの推測でしかない。
それを言うなら、その夜の思考は全て、裏付けがきちんと為されたものでもない。
けれど、思考し、整理されることで、アキに物語の重みがかかる反面、彼女は夜から軽くなってゆく。
それでいいんじゃないかな、と素直に思わされる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
2018年
- 感想投稿日 : 2018年7月8日
- 読了日 : 2018年7月8日
- 本棚登録日 : 2018年7月8日
みんなの感想をみる