2020年にインストール。
綿矢りさを何冊も読んでるのにインストール。
私は「一大ブーム」を起こした小説を敢えて避けるようにしているのです……(村上春樹でさえ『ノルウェイの森』はかなり後回しにしたし、『永遠の0』に至っては未読)
が。
先日、高橋源一郎さんの『大人にはわからない日本文学史』(なぜかブクログに登録されてない)を読んだ際、綿矢りさについて一章を割いて語っていて、ようやく手に取ることに。
そして。解説やったんかーい。とツッコんだ。
高橋源一郎さんの引用に引用を重ねるのだけど、
「その時綾香の耳の上にがんと高速のボールがぶつかってきて、さらさらの髪が一瞬くらげのように上へ浮かび上がり、開いた口から歯のかみ合わせがずれたのが見えた」
の一文がお気に入り。
文章のテンポが否応なくスローにさせられる感じ。
なんだこれ。いい。
「思っていたよりも気が強いみたいだからな、あいつ。そこまで考えてから、頰づえをついた城島の顔が、身体が、ぶわりと火照った」
これもね。語りと視点の時間差みたいなのがあって、いいな。うん、いい。
どちらも「You can keep it.」から出したんですけどね、「インストール」も、楽しい。
テトリスのキーホルダーなんか、デスクトップの持ち運べない重さのパソコンなんか、もう忘れられてしまいそうな遺物なのに。
私たちの往還は何も変わってなくて。
朝子の唐突なフェードアウトに、かずよしくんの冷笑に、雅さんと「雅」の屈託なさに、お母さん達の不安と戦慄に、やっぱり共感するんだなぁ。
なんだろう。今の方が癒着しちゃって、ヴァーチャルさえ地続きになっているのかもしれない。
いやあ。
いいですよ、インストール経年比較読み(笑)
ぜひ。
- 感想投稿日 : 2020年8月12日
- 読了日 : 2020年8月12日
- 本棚登録日 : 2020年8月12日
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