こちらあみ子 (ちくま文庫)

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本棚登録 : 1243
レビュー : 151
著者 :
mitsukiさん 2019年   読み終わった 

以下ネタバレ注意。

「こちらあみ子」
周りからも、家族からも、変わった言動をすると見なされている、あみ子。
継母の習字教室には参加させてもらえないし、学校でも先生に怒られてばかりいる。

継母の死産は、家族みんなにとって、大きな出来事だった。
けれど、あみ子が気を利かせて作った「弟の墓」をきっかけに、継母は精神を病み、父は遅くまで帰って来なくなり、兄は不良の仲間入りをする。

正常の反対には、気持ち悪さという異質があった。
中学に進学したあみ子が、「お前には気持ち悪い所が沢山ある」と言われることを、正常に受け止めるシーンがある。
そこで、正常に受け止めたことを察した同級生の男の子は、その内容に踏み込まない。

それを言えば、あみ子を傷付けるかもしれない、と同じ舞台に立ったからだと思う。

あみ子は、それを言われても傷付かなかったかもしれない。
また、彼女が逆の立場なら何も考えず、気持ち悪さの中身を説明してあげることを、正常としていたかもしれない。

白痴の純真さが、世界を壊してゆく。
でも、あみ子は世界が壊れてゆくことに、気付けないわけではない。
いなくなっていく人々を前に、あみ子なりに世界の修復を望む姿を見るのが、切ない。
読んでいて、空気感に浸ってしまう、良い作品だった。

他、「ピクニック」「チズさん」。

レビュー投稿日
2019年8月25日
読了日
2019年8月25日
本棚登録日
2019年8月25日
4
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