中谷宇吉郎 雪を作る話 (STANDARD BOOKS)

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本棚登録 : 125
レビュー : 8
著者 :
mitsukiさん 2016年   読み終わった 

この間、長野県へ行く仕事があり、そこで見た雪の結晶に驚かされた。
きれい、を通り越した不思議な精緻さに感動することが出来たのは、以前から中谷宇吉郎に触れていたこともある。なので、この随筆を読むのが、なんだか嬉しかった。

「自分の眼で一片の雪の結晶を見つめ、自然の持っている美しさと調和とに眼を開くことの方が、ずっと科学的である。非科学の代表は、自分のすぐ眼の前にある自然の巧みを見ないで、むやみと名前や理論などだけを言葉でおぼえることである。」

「科学の発達は、原子爆弾や水素爆弾を作る。それで何百万人とかいう無辜の人間が殺されるようなことが、もし将来この地球上に起ったと仮定した場合、それは政治の責任で、科学の責任ではないという人もあろう。しかし私は、それは科学の責任だと思う。作らなければ、決して使えないからである。」

雪に関する話も面白く、幻想的ですらあるが、二部にある「天地創造の話」「立春の卵」「線香花火」「琵琶湖の水」も、面白い。
普段、なんとなく、大雑把に考えているところを、それは突き詰めると嘘だよ、と切られてしまう鋭さがあるからだ。
また、そこには多分に寺田寅彦の姿も見える。
この時代の科学者たちが見つめた眼は、今も受け継がれているのだろうか。

そうである一方、科学的に考えないものごとの良さも語れるのだから、この人の随筆は、やはり味わうべき名作であると言える。

レビュー投稿日
2016年2月28日
読了日
2016年2月28日
本棚登録日
2016年2月28日
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