「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考

著者 :
  • ダイヤモンド社 (2020年2月19日発売)
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昨夏に新聞の著者インタビューを読んでリクエストした本が、ようやく図書館からやってきた。

読みながら、小学5年生の頃の美術の先生を思い出した。

文化祭で飾る木製のラケットに、好きなイラストを描く課題だった。

「それが君に描きたいことなのかな。本当に書きたいことを描いて良いんだよ」

考え直したアイディアは、「社長と社員のラケット」

ラケット部分は太った社長があぐらをかいてえばっている。軸の部分で社員が汗をかきながらそれを支えているのだ。

先生は大爆笑して大絶賛。
ほんの少しだけ手直しをしてくれた。

魔法にかかったように、作品に魂が入ったようになった。

大評判となり、校内放送で下級生の女の子が「一番印象に残った作品でした」とまで言ってくれた。

そのタッチは本書に登場する「緑のすじのあるマティス夫人の肖像」に似ていた。

マティスの絵と、著者の情熱的でありながらわかりやすい記述に、40年前のエピソードが鮮やかに蘇った。


本書では簡単なワークと、6つの大きなテーマで構成される。

私もレシートの裏紙などでやってみたが、本当に楽しかった。

インプットとアウトプットにより、6つのテーマがより親しみやすく感じられた。

カメラの開発により死にかけたはずのアート。そのアートにしかできないことの答えを探したアンリ・マティス。

「多視点でとらえたものを再構成する」という「自分なりの答え」にたどり着いたパブロ・ピカソ(アピニヨンの娘たち)。

「具象物を描かない絵」を生み出したことによって、美術の世界における「作品とのやりとり」への可能性を推し進めたワシリー・カンディンスキー(コンポジションVII)。

アートを「視覚」の領域から「思考」の領域へと、完全に移行させたマルセル・デュシャン(泉)。

アートを「なんらかのイメージを映し出すためのもの」という役割から解放したジャクソン・ボロック(ナンバー1A)。

「『これがアートだ』などといえる『確固たる枠組み』は、じつはどこにも存在しないのではないか?」という問いかけを投げかけたアンディー・ウォーホル(ブリロ・ボックス)。


「読者のみなさんになにを残したかったのかといえば、それはアート思考の『体験』です」

「振り返ってみると、これまでやってきたとこ、出会った人は、すべてつながっていることに気がつかされます」(「おわりに」より)

素晴らしい体験は、先行きの見えない未来を切り開く力になる。

人生100年の時代。
お楽しみは、これからだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年2月11日
読了日 : 2021年2月11日
本棚登録日 : 2021年2月11日

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