死ねばいいのに

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本棚登録 : 4283
レビュー : 767
著者 :
halさん ミステリ   読み終わった 

君の口癖だよね、と言われたタイトル。そうかも。
アサミという女が殺され、『知り合い』のケンヤは彼女のことを知る為に、彼女の周囲の人々を訪ねる。だが誰もが自分のことばかりで、アサミについては何も語らない。自分はどうにもならない状況だと不平ばかりの彼らにケンヤは言う。『ならさ、死ねばいいのに』。
私が言う『死ねばいいのに』とは意味を異にするこの台詞が、連作短編の中で必ず一度ずつ出てくる。そんな訳いくかと言い募る人々が、その後打開策を見出せたのかは語られてないので分からない。こんなこと言われたくらいで目が覚めるような殊勝な面は誰も持ち合わせていないように見えるので、この後何かが変わった奴などいないだろう。それでもこの台詞は、一種の『憑き物落とし』のようだ。劇的に変わることはなくても、何かに気付くことは出来る。気付いたからどうかというのはまた別の話ではあるが。アサミを殺したのはケンヤで、彼はアサミのことが分からないから知りたくて聞いて回っていたのだと言う。結局誰にも彼女のことは分からない(ケンヤは最初から一貫してそう言っているが)し、読んでる方としても何も分からない。だが未消化な感じは残らないのが不思議なところ。ケンヤはだらしない態度と言葉遣いでたいへんな馬鹿のように思えるし、殺人という社会や倫理、法など全てから逸脱した罪を犯しているが、実はそれほど悪くもないし、むしろ一番常識人なのではと思った。『異邦人』のムルソーみたい。

レビュー投稿日
2012年11月12日
読了日
-
本棚登録日
2012年11月12日
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