ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)

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本棚登録 : 12299
レビュー : 734
著者 :
みずいろゆきだるまさん 著者 マ行   読み終わった 

以前、途中まで読んでやめてしまったものを読み直したら、今回は面白く読めました。
会社を辞めた僕と、雑誌編集者として働く妻のクミコ。クミコが他の男と浮気をして、家を出て失踪してしまう・・・と書くとただの不倫の話だけど、全然違います。

捉え方も解釈も人それぞれだとは思いますが、どのように読んだらよいのか・・・。

飼い猫がいなくなり、クミコが出ていき、僕の世界が少しずつ歪みます。
僕の本来の世界は平穏でどこにでもある日常でしたが、いったん、世界が歪んでしまえば、そこは理不尽で恐ろしい破滅的なものと背中合わせのような世界であり、僕はクミコを取り戻すため悪と対峙します。僕以外の様々なエピソードもかなりの文章量ですが、所々にねじまき鳥が登場したり、あざが転生していたり、エピソードに関係性を連想させます。自分を助けてくれる人の力を借りた僕と、人が根源的に持っている悪との対決が奇怪な世界で暗喩だらけで描かれています。
人間の暴力性について多く描かれていますが、ノモンハンの戦争での何のためらいも持たない残虐的な行為と、新京の動物園での望まないのにしなければならない残虐的な行為を対比することで、何が正しい感覚なのかわからなくなります。不条理な状態に追い込まれれば、意志とは関係なく人は暴力的になれてしまい、現代とは程遠い話に感じながら、何かきっかけがあれば簡単にそちらの世界に行けてしまうのかもしれないと考えさせられます。

結局のところ、感想を書いていて、書いているそばから違ってしまっているような、考えがまとまりながら崩れていくという妙な感じです。何か正解的なものはなく、整合性もなく、また読み直したら違う捉え方になると思うし、読み解けません。そこが面白かったです。

レビュー投稿日
2017年2月14日
読了日
2017年2月14日
本棚登録日
2017年2月13日
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