ふくわらい

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本棚登録 : 3094
レビュー : 457
著者 :
mkt99さん 小説など   読み終わった 

久しぶりに直木賞作品でも読んでみようと思ったのですが、上下2冊の厚さに怯み、割と薄めの同著者の本書にしてみました。(笑)

奇想天外でエログロで、しかしどこかひょうきんでとぼけていて、精神と肉体のシリアスなせめぎ合いを主題にしているにも関わらず、全体を覆うユーモアに満ちた文体が不思議な感覚を引き起こす物語です。自分は面白くて終始にやにやしながら読みました。(笑)そういえば小川洋子さんのとぼけ調子でどこか切ない物語を読んでいるような趣もあったかな。
鳴木戸定の生い立ちから始まって、周囲のうさんくさくていわくありげな人物像の設定には大いに魅せられます。(笑)特にプロレスラーの守口廃尊は意表がつき過ぎる存在感の大きさでしたが、その守口が大事にしていた「言葉」と人生を賭けた衝動は、父・鳴木戸栄蔵とも、小説家・水森康人・ヨシ夫妻とも共通した本書を通底するキーワードであり、そうした魂のこもった立ち居振る舞いが読者を引きつけるのだとも思います。
この作品における「言葉」の選択の強さは面白いことこの上がないのですが、言葉の力によって映像が一層鮮明になるというか、その色彩や匂いや空気が伝わってくるかのような感覚が素晴らしいです。印象に残るシーンは多いのですが、特に面白くて何度も読み返したのは、武智次郎と小暮しずくと定の、「やりたい」問答だったかな。(笑)
「ふくわらい」とは、物質も言葉も全てガラガラポンして、自分だけのものとして世界を構築し直せるのだという象徴だったのでしょうかね?その時に味わえる幸福感に自分も浸ってみたいと思わせるような物語でした。

レビュー投稿日
2015年2月26日
読了日
2015年2月25日
本棚登録日
2015年2月2日
8
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