限りなく透明に近いブルー (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (1978年12月19日発売)
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本棚登録 : 7235
感想 : 797
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青年たちが繰り広げるドラッグ、酒、乱交パーティ、音楽、暴力を、その雰囲気のまま包み込みながも、その行為自体を透明感にあふれて描写した青年群像小説。
彼らの過激な言動は生々しくエロ・グロな描写も表現豊かで細にいるのだが、なぜか躍動感が感じられず、流れるように読める。リアルな情景を再現させる「動」を題材としながら、どこか入り込むの余地がないほどの「静」を描き、そこに登場する人間たちがまさに透き通っているように感じる。安定感を求める彼らの意識を柔らかく受け止めることができるようだ。
ところで、あの表紙の横顔はリリーなんだろうか?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説など
感想投稿日 : 2011年5月4日
読了日 : 2011年5月4日
本棚登録日 : 2010年1月3日

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コメント 2件

lacuoさんのコメント
2016/11/14

この小説は、私も、なんだか好きなんですよね。

ありきたりの表現だけど、瑞々しい感性が、気持ちいい。

私にとっては、エロティックでもグロテスクでもなく、純粋に、気持ち良い小説でした。

この、過去の小説の、現在形が『蛇とピアス』だと思うんだけど、私にとっては、こちらのほうが、はるかに空恐ろしい、グロテスクなものに思えたんです。

mkt99さんのコメント
2016/11/18

lacuoさん、こんにちわ。
コメントいただきありがとうございます!(^o^)/

なるほど確かに瑞々しい感性の作品でしたね。
エロ・グロな内容でありながら透明感があり、なぜか生々しさを感じずさらさらっと受け入れることができた不思議な作品だったように思います。

『蛇とピアス』も読みましたが、自分には生々とした異物に対する気持ち悪さを感じた作品でした。

ちなみに『ヌーベルヴァーグ』という作品のDVD特典映像で、ジャン=リュック・ゴダールと若かりし村上龍との対談を観たことがあるのですが、こちらの方は逆にゴダール=蛇に睨まれたカエルのように硬直していた村上龍をみて、本来的には突拍子もないグロテスクなものには弱いんだなと思いました。(笑)

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