雪国 (新潮文庫)

著者 :
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感想 : 779
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「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」は、日本文学史の中でも屈指の書き出し。余談ながら、富山から東京へ新幹線移動の場合は、越後湯沢で乗り換えなので、越後湯沢の雪深さが現実感としてあらわれてきました。(笑)
実は物語らしい物語はなく、背景や経緯も読んでいてあまりよくわからないのですが(笑)、情感たっぷりに雪国の風景を描写した中で交わされる島村と駒子の会話が、しっとりとした面白い風情を感じさせ、ぐいぐいと引き寄せられました。駒子が島村にまとわりつく様子も嫌味でなく、本来は鬱陶しいはずの言動も(笑)、雪国の景色の中へとけこんでいくような感じ。
四季のうつろいと蛾の生死の有様の対照化や、女性の美を鏡に反映させて描く筆致は見事です。
ラストは余韻がかなり残る終わり方ですが、その後を描いていくよりはむしろ、大舞台の中、情感を最高潮に達したところで終わりにする心憎い演出ではないかな。(笑)しっとりとした美を描く日本映画、といった趣の作品でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説など
感想投稿日 : 2012年5月8日
読了日 : 2012年5月6日
本棚登録日 : 2012年4月30日

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コメント 2件

だいさんのコメント
2013/05/26

>女性の美を鏡に反映させて描く筆致は見事です。
私も川端の女の描写はすごいと思います。

mkt99さんのコメント
2013/05/26

先日、「川端康成 ・東山魁夷コレクション」という展示会を観てきました。川端コレクションを観ていますと、川端の審美眼を通した「女性像」というものがあるのかなと思いました。

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