幽霊たち (新潮文庫)

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本棚登録 : 2241
レビュー : 266
制作 : Paul Auster  柴田 元幸 
mkt99さん 小説など   読み終わった 

ニューヨーク三部作の第二作。またもや(?)主人公は探偵。ハードボイルドな雰囲気の中で、得体の知れない依頼主より張り込みを依頼される。行動が少ないターゲットの故に、何も「物語」は起きない。何も起きない中で、主人公が辿る内面の旅の末に得た境地と結末とは・・・?
相変わらず秀逸な出だしと、個性を消したカラーの命名。章立てもなく一気に「物語」を進める圧倒的な文章力。ハードボイルドな雰囲気の中で「描かれる」現実と虚構、個性と無機質な世界。そして、次第に一体化するターゲットと自分。こうした理不尽な「物語」は前作『ガラスの街』の顛末をさらに推し進めたような感じでもある。
何も起きずに、ただ主人公が内面を辿るだけではなく、そのプロットは実はミステリー的でもあり、わくわくという感じではないにせよ、意外な緊張感に包まれた不思議な短編小説であった。
訳者解説で柴田元幸は「エレガントな前衛」という名をポール・オースターに与えているが、なかなか言い得て妙である。ハードボイルドで透き通るような筆致で描き出される不条理な「物語」。まるで、大海原にひとり漂っている心地にさせられる。

レビュー投稿日
2014年6月29日
読了日
2014年6月29日
本棚登録日
2014年5月24日
14
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『幽霊たち (新潮文庫)』のレビューへのコメント

深川夏眠さん (2014年6月29日)

私は『山崎浩一の世紀末ブックファイル1986‐1996』で
この作品を知って読みました。
山崎氏は「カフカが書いた探偵小説のよう」だと評しておられました。

mkt99さん (2014年6月29日)

深川夏眠さん、こんにちわ。
コメントいただきありがとうございます!(^o^)/

なるほど「カフカが書いた探偵小説のよう」とは、これも言い得て妙ですね!
確かに探偵小説のようなプロットを備えているのですが、とことん主人公の内面の葛藤と不条理さが全体を覆っていて面白かったですね。(^o^)

darkavengersさん (2014年7月27日)

こちらの方にコメント返信させてもらいました。
たくさんの これいいね!ありがとうございます。

「佐武と市」は原作、アニメ、実写全てが好きな作品です。
ホント、全話DVD化してほしいものです(切実)

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