読み始めて最初は、「今回少し薄っぺらいかな」なんて思った。
顔の比率などの見た目、睡眠やたばこなどの行動、しかし、確率的にはやや的中率の高い占い程度にしか思えない。著者のよく見かけるメンタリズムの方法かとも思って読み始めたのはいいが、それとも少し違う。
しかし、ジャッジメント能力の研き方になると、非常に興味深いものになった。
他者の何を見抜きたいと人は思うものだろうか。
自分だったら、
「この人は、怒っているのかな」
「この人は、わたしのことが好きかなあ」
「この会話で何を言いたいのかなあ」
など、言語の先を見たいと思うだろうか。
しかし、
「騙されているかも」
などということは疑わない。
なぜ疑わないのだろう。信じやすいから? 人は嘘つきではないと。単純なせいかもしれない。
そんな風に思ったこともある。
しかし、実は、自分は騙されないという自信がどこかにあるのでは。
人は、先入観を持たない印象によって、ある程度正確に相手を診断できるものらしい。それは、歴史上培った本能や経験がそうさせるのだろう。
しかし、それに反して、読み誤ることもある。
人を欺き、だますことで得られる利がそこにあれば、そのためのテクニックもまた発達するからだ。
人をだます要素として意外だったのは、「笑顔」である。
人は、思うように表情を読めない。表情は嘘をつく。それでも笑顔を好意的に評価しすぎる。
そして、意外でもなんでもなく、過大評価になるのが美男美女だ。いやいや、だますとはされていない。実際にIQが高くなるからだ。しかし、美男美女が必ず賢いわけではないのに、好意的な評価が過大だろう。ハロー効果のせいで得をしている。
そうした様々な読み取りを阻害する「ノイズ」を除去するために、別のテストもあるが、それよりも、共感力を駆使した方法が面白い。
「相手の立場で考える」という、ずっと進められてきた方法が、結局はかなり有効で、表情やしぐさなどの結果で得られるものよりも、もしかしたら、より効果的に精度を上げられる。
そして、それで終わらない。その「共感力」を上げる方法が、思いもよらないトレーニングとともに紹介されている。
ここでは紹介しないけど。
さて。信用できる人を見抜く方法として、むやみに人を信じる効果が挙げられている。信じるから、うそを見抜く能力が磨かれ、また人を信じる。
だから、「人を信じる気がする」なんて思っている人は、人を見抜く力が伴っているため、信用できない人を無意識に避けている。
まずは、自分から信じたほうが良い。
ただし、今は、詐欺が巧妙化しているから、これはこれで怖くて難しいんだよね。
パートナーを見抜く章で、面白い記事があった。
「深い話」というのは、自らをさらけ出さなければならないため、自分語りにも強力な快感を伴う。
それは、おいしい食事やセックスに匹敵するとか。
こうした書評サイトは、「深い話」になりやすいから、会話をすると快感から病みつきになるのかなあ。
- 感想投稿日 : 2018年9月22日
- 読了日 : 2018年9月22日
- 本棚登録日 : 2018年9月22日
みんなの感想をみる