心の内に秘めた狂おしいほどの感情や記憶。
それを落ち着かせたり発露させるために作るおやつ。
インドのガジャルハルワ、スペインのポルボロン、香港の湯丸、バヌアツのチョコレート、ポーランドの鳥のミルク、京都の麦代餅。
初めて名前を聞く世界のおやつ、どれもとても美味しそう。
幼い我が子を亡くしたスミレの章(第二章 スミレのポルボロン)が、胸が苦しくなるくらい共感し、泣きそうになる。人を亡くした悲しみは、消えることはない。でも、その悲しみと共に生き続ける人の話を聞き、自分の話を聞いてもらうことで、少し気持ちが和らぐ瞬間ができるかもしれない。
そしてそんな時間のきっかけを作るのが、一緒におやつを食べること。
「自分にとっての宝物のおやつってなんだろう」
と思い返してみたくなる、感情溢れるおいしい一冊でした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2024年9月1日
- 読了日 : 2024年9月1日
- 本棚登録日 : 2024年8月13日
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