シー・ペリル号の冒険

  • 岩波書店 (1976年12月10日発売)
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感想 : 3
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『シェパートン大佐の時計』『ハイ・フォースの地主屋敷』に続く、ダーンリイ・ミルズの三人の少年たちの物語。少年たちは平底舟を改造して足漕ぎ式の外輪船を作り、ローマ時代の遺跡を探して川に乗り出す。
さまざまな人たちと関わる三人の日常が丁寧に描かれる。自分の仕事に真摯に、誇りを持って取り組む大人たちと、ごく自然にその姿勢を受け継ぐ少年たち。人生に対する揺るぎない信頼や肯定感を感じさせるところは前二作と同様である。が、今回初めて彼らは苦い思いも噛みしめることになる。彼らと一緒に、読者も少し大人になるだろう。
一作ごとに少年たちは成長し、町にも少しずつ変化が訪れる。『赤毛のアン』のようにどこまでも続きを読みたいが、あと一冊しかないらしい。しかも翻訳されていないようだ。すごく残念。とりあえずその一冊を、可及的速やかに訳してくれるといいのだが。翻訳と言えば、前二作では「船長」と呼ばれていたアーサーの家の馬が、本書では「キャプテン」となっている。大事なシリーズキャラクターなのだから、名前はちゃんとしてほしい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 児童書
感想投稿日 : 2008年9月8日
読了日 : 2008年9月8日
本棚登録日 : 2008年9月8日

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