「our age」165回芥川賞候補作品
20年前、殺されるような女で殺された女が残したour age の文字の書かれた鉄塔の写真、その鉄塔を探す、というハーボイルド風味のミステリー仕立て。
名画座の映写技師のバイトをしていた大学院生時代の主人公の回想と現在がまじる。20年前の謎めいた女の行動、言葉が、じょじょにわかる謎解きは心地よく哀しい。最後の謎解きは、まあ予想できたけど、希望の見える終わり方。
主人公が研究していた数学の「構成要素は無限にあるのに中身は空」というカントール集合、それを重ねたときに1点でも重なりあうか、というのがもう少し小説で感じられたらよかったのに。
ただ、ちょっと古いタイプの小説かな。
太宰治の孫も候補になった今回の芥川賞だが、本作中に、
「太宰の子孫ってやつがバイトに来たんだよ、困ったよ」なんてセリフがでてきてにやり。
芥川賞予想×大穴
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
芥川賞
- 感想投稿日 : 2020年7月14日
- 読了日 : 2020年7月14日
- 本棚登録日 : 2020年7月8日
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