ヴィレット(下) (白水Uブックス)

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本棚登録 : 57
レビュー : 4
mofuinkoさん  未設定  読み終わった 

なんという終わり方…!!

シャーロット・ブロンテの遺作となったこの小説、上巻で示されたほのかに暖かい交友もまた、幸せにも希望にも猜疑心を持つルーシーには早々に遠いものになってしまい、読むのが辛くなってしまった。ポール・エマニュエルもなあ。私にはちょっとモラハラというか、そういう体質の支配者に思えてしまった。英国教会の牧師の長女らしい、シャーロットの真面目な性格を想像できる。今の時代であれば、自分の生き方を他者に頼らない女性を、シャーロットなら、どう書いただろうか。

ヴィレットとはベルギーのことを想定してあるらしいが、英国人、フランス人、スコットランド人、カトリックとプロテスタントの差別意識など。あと翻訳が古いものなのも斟酌しつつ読んだ。(ポール・エマニュエルは今で言うツンデレ、ってやつなのかも。)ミステリ要素やなんかは「ジェイン・エア」と同じく面白いが、プロットというよりも、主人公ルーシーの思考こそが読むべきものかもしれない。冷徹に人の俗物さを描写しながら、人とのつながりを求めずにはいられないルーシーの得た、愛と心の自由と自立。

ポリーにも、ジネヴラにもなれないルーシー。(そんな風に恵まれていたり、愚かであれたら、どんなに幸せだろう)。そんなルーシーの決然たるラストには、なんとも言えない気持ちになった…。

レビュー投稿日
2019年9月9日
読了日
2019年9月9日
本棚登録日
2019年9月3日
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