日本社会と天皇制 (岩波ブックレット NO. 108)

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  • 岩波書店 (1988年2月22日発売)
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感想 : 5
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靴の中の小石みたいに、3.11以降それまでまったく気にもかけていなかった物事が気になって仕方ない。たとえば、「天皇制」について。

震災後の天皇陛下のお言葉やふるまいには、たしかに、なにかしら日本人の琴線に触れるものがあったように思う。その正体はいったい何なのだろう? 自分なりに探ってみる必要がありそうだ。

著者は日本中世史の研究者であるが、みずから「日本共産党」の党員であったこともあるだけに、「天皇制」については一貫して批判的な立場を貫いている。とくに、このブックレットの元となった講演が行われた80年代当時は中曽根政権のもと日本の右傾化が懸念されていた時期だけに、かなり直裁的な表現もみられる。

・歴史上、単一民族による統一国家としての「日本」が存在していたことはない。

・歴史上、天皇家が「日本」を統治していた時代もほぼ存在しない。

・皇国史観などを通じて、天皇家が重要視する「後醍醐天皇」という存在の「特異性」。

といった「視点」がここでのキータームになっている。これだけをもとになにかを判断することはまったくできないとはいえ、コンパクトながら日本人と天皇制(とりわけ中世の)を知る上で大変に興味深い論考。後醍醐天皇とその治世について論じた『異形の王権』もぜひ読んでみたいところ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2011年6月27日
読了日 : 2011年6月26日
本棚登録日 : 2011年6月24日

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