侍従長のひとりごと (講談社文庫)

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感想 : 1
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ジジュウチョウ。肩書きは硬いけれど、著者の心はとても柔らかい。

たとえば、趣味として楽しんでいた「書」について、その〝いきさつ〟をこう語る。「街をあるいていて、そば屋の看板の『そ』の字がすばらしいと思えば、すぐ手帳に書きとめる」といった手習いならぬ「目習い」を通して「書」に触れてきた。ゆえに「師はないが、またすべてが師でもある」と(「すべてわが師」)。

数え年というものがあったからこそ、すべての日本人が同じように感じ得た「大晦日」がもたらす「甘いセンティメンタリズム」(「歳末、正月」)など、戦前の日本人の心のありようについて触れた文章も、なるほどなぁと面白い。

せわしない現代に生きる読者にとっても、鷹揚なジジュウチョウの「ひとりごと」につきあうのは至福のひとときといえるだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年10月11日
読了日 : 2013年10月11日
本棚登録日 : 2013年10月11日

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