性的人間 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1968年4月29日発売)
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本棚登録 : 1358
感想 : 109
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うわ、すごい本を手に取っちゃったな、っていうのが読み始めた時の感想。電車の中で広げるのを躊躇するほどアレな単語満載で若干怯んだ。が、相変わらず難解ながらも文章が読みやすく、登場人物に共感を抱くことはできなくとも、ともに性の深淵っつーか生の行く末を覗き込んだ感じ。「性的人間」と「セブンティーン」での性の扱いがまったく真逆でそれがものすごく興味深い。しかし、青臭い思春期を随分前に終えてしまった私には「共同生活」がいちばん怖かった。猿の視線は感じたことがないけど、人間誰しも常に視線に晒されているわけで。そもそも“恥”という概念そのものが、他を意識したときに出るもんなんだよな、と。しかし他があってこその個なのだとしたら、「共同生活」を神経衰弱者の妄想と笑うことなど誰に出来ようか。

…なんかあれだな、大江健三郎を読むと小難しげなことをグダグダと語りたくなってしまうみたいだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説/エッセイ
感想投稿日 : 2010年5月13日
読了日 : 2010年5月13日
本棚登録日 : 2010年5月13日

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