検証 「イスラム国」人質事件

  • 岩波書店 (2015年6月27日発売)
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感想 : 9
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 2015年1-2月に表面化した「イスラム国」(IS)による日本人人質殺害事件の事実経過を検証した書。1月20日の身代金要求の映像公開前から、後藤健二の妻とISのメールによる交渉を関知していながら、「テロリストとは交渉しない」という建前に教条的に拘束されて何もしなかったこと、中東諸国歴訪で不用意にIS対策と明示して資金拠出したこと、有志連合の対IS空爆に参加して捕虜交換交渉の難題を抱えるヨルダンに依存したことなど、安倍政権の失態を明確に暴いている。政府関係者や人質関係者のガードが固い中で、できるだけ綿密な取材を行っており、現時点でこの事件の経緯を知る上で最適な本であろう。イタリアのテロ対策コンサルタントのロレッタ・ナポリオーニとイスラム現代政治研究者の宮田律のインタビューも非常に有益である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2015年11月4日
読了日 : 2015年11月4日
本棚登録日 : 2015年11月4日

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