神の子どもたちはみな踊る

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本棚登録 : 1480
レビュー : 163
著者 :
もちもちさん 小説   読み終わった 

 「UFOが釧路に降りる」は、元妻から離婚を迫られている小村が同僚の佐々木に頼まれて釧路へ行く話です。この話を深読みすれば色々と出てくるのかもしれません。けれども、ただ、小村が妻が離婚をすると申し出た事だけが頭にあり、佐々木のことはあまり深く触れていませんでした。けれども最後の方で分明してはいませんでしたが、佐々木(兄も妹も)の恐ろしさが少しだけ垣間見れた気がしました。
 「アイロンのある風景」は神戸の震災にあった三宅が海岸で焚き火をし、それを順子達が眺める話です。ただ焚き火を眺めるのではなく、焚き火のようなものが人間の中にあるのだと警告した作品だと思います。
 「神の子どもたちはみな踊る」は、沢山の異性と関わってきた母は宗教にはまってしまうが、息子はそんな母に反抗して宗教から足を洗い、多くの異性と交わった。そんな息子の父は産婦人科の医者をやっており、母と付き合ったことを息子ができた当初は否定していたが、数年後、息子の前で後悔した。……という話です。ただ気になることは、息子の邪念ってなんだろうってことと、宗教とは離別した筈なのになぜに元カノに神の子と言ったのかということです。やっぱり、拭いきれない何かがあるから、後悔して神の子って言ったのかな? よく分からなかったです。
 「タイランド」は、神戸に住む男が地震に巻き込まれれることを望む女性医師が主人公の話です。自分を捨てた男でも過去を振り返ってはならないってことが言いたいのでしょう。それが結果として悪くても、文句は言ってはいけないということがこの作品では主張したかったのでしょう。でも、言った方がすっきりする時ってあるから、必ずしもそれでいいとは思えないんだが……
 「かえるくん、東京を救う」は、アニメ「輪るピングドラム」で取り上げられた作品でした。この作品があったからこそ、この本を読もうという気持が持てました。ピンドラ(略)では世の中に起こったことが気付けば解決していたことって沢山あることを暗喩(?)として用いられていた題材でした。その中でも、特に片桐のような、実は会社や世の中で重要な位置にいるパターンって実はあると思うんです。その時、自分はどのように立ち振る舞えばいいのかを教えている作品なのでしょう。それは兎も角として、私は片桐の生い立ちになんだか不憫になってはいけないんだおろうけど、なってしまいました。でも、かえるくんのように軽率な言葉は慎んだ方が賢明なんでしょうね。だって、下手に同情していいとは思えない場面だろうし……と気にかけながら後半読んでいきました。かえるくんがみみずと戦う場面よりもそっちの方が気になっていました。
 唯一の書き下ろし作品である、「蜂蜜パイ」。四角関係なのに、あっさりとWカップル(夫婦)が成立。なんか、前からそうなることが運命づけられたみたいな感じ。ほのぼのするんだけど、たまにある沙羅の予知能力(?)が恐ろしさを醸し出しているかもしれない。
 今回初村上さんでしたが、流石にノーベル文学賞候補者だけあって話は面白いなって思いました。でもこれらの作品は、落ちがなさすぎて納得のいく終わり方ではない方も多くいるかと思います。けれども、これでいい気がします。なんとなくですけど……このぽいっと投げ出された感じが逆にいい味出しているのではないのでしょうか?

レビュー投稿日
2013年1月27日
読了日
2013年1月27日
本棚登録日
2013年1月20日
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