橋のない川を最後まで読み終えて、住井すゑさんがどんな経緯でこの本を書くことになったのかを知りたくなり、読みました。
他にも、永六輔さんとの対談本などを何冊か借りて、まとめての感想になり、記憶違いもあるかもしれませんが、印象に残った話は
・「文化」を定義すると、人の命を守るもの。京都でお茶を立てたりすることではない。
・神武御陵は明治時代にできたのに、全国各地から大木を移植させてさも太古からあったかのような雰囲気にしたり、実在する天皇より以前の時代の天皇を江戸時代に創作したりと日本の歴史は嘘で塗り固められている。
・幸徳秋水の処刑の話を小学生の時に知り、その仇討ちが自分のライフワークになった。
・物事を見極めるときに、それが法則なのか人為的なものなのかで判断している。
・水平社宣言を書いた西光万吉が、戦時中に転向した事について、批判をしていない。転向があっても水平社宣言の価値は変わらず、ずっと尊敬の対象だった。
・憲法に「身分、門地による差別はしてはいけない」とあるが、身分と門地があるという前提が既に差別している証拠である。憲法を持ち込んだアメリカでも当時黒人差別に関する裁判で「黒人と白人は分離するが、平等である」という矛盾した判決が出ており、それと同じ考え方。
・原爆を落としたアメリカが法的に裁かれなかった理由は、国際法で宣戦布告をした相手国にはどんな事をしても良いとあるから。宣戦布告は天皇が行った。
住井すゑさんは、間違っていること(法則に反すること)を間違っていると考えて伝えることを最後まで諦めなかった人なんだと感じます。不思議なことにそれをすると叩かれる事が多いんだなと気付きます。幸徳秋水もそうだったのだと思いますし、自分が信じているキリストも、律法からかけ離れて人が作ったおかしなルールが律法と同じ効力を持っている事や、それを民衆に強要する律法学者達を激しく非難して、それで殺されるほど憎まれていたことを思い出しました。
間違った事がまかり通ってしまう不可思議な社会ですが、自分の中に嘘がないかどうかを吟味することから始めたいです。
- 感想投稿日 : 2020年11月22日
- 読了日 : 2020年11月22日
- 本棚登録日 : 2020年11月22日
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