暗夜
主人公は知り合いのおじさんに連れられて、かねてより憧れていた〝猿山″へ向かう。しかし出だしから道は真っ暗、得体の知れない亡霊や鳥の妨害にあったり、宿には全然泊めてもらえなかったりと全く上手くいかない。さらには村に残してきたはずの家族や友達が現れてことごとく罵倒される。つれのおじさんにもなぜかめちゃくちゃ罵倒される。まったく進捗を見ないまま振り出しに戻るが、そこで主人公は今度は一人で行こうと強く決意する。いわく、何かをなそうと決意した人間を本当に妨げることは誰にもできないんだ、と。
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残雪の書いたカフカ論も読んだのだが、本作はまさしく「城」のオマージュだと思った。もっとも、より脈絡が無く、より幻想寄りで、より登場人物は口汚ないが。
残雪の書く物語は、短いほどプロットで話が進み、長いほど会話で話が進むようだ。そして長くなればなるほど混沌として、解釈を激しく拒むような苛烈さが増してくる。(余談だが、カフカは逆に短い話ほど読者を置き去りにする傾向があるかもしれない。それでもカフカは常に解釈を要求してくる。)
幻想的なプロット、暗喩を感じさせるモチーフ、そして力強い会話がこの作家の魅力だと思った。作品数に対して邦訳が少ないようなので楽しみに待ちたい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
市立図書館
- 感想投稿日 : 2018年9月15日
- 読了日 : 2018年9月15日
- 本棚登録日 : 2018年9月15日
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