小澤隆生 凡人の事業論――天才じゃない僕らが成功するためにやるべき驚くほどシンプルなこと

  • ダイヤモンド社 (2025年2月19日発売)
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楽天球団創設やYahoo!社長を務めた小澤氏の事業論。誰でもコツさえ掴めば事業は成功させられるという発想は大変参考になる。ただ、本書の中心となっている楽天球団創設時のストーリーは、著者の前作「ビジョナル突き抜けるまで問い続けろ」とかなり重複しており、どちらも読んでいると新鮮味に欠けた。

以下自分用のメモ。

小澤氏は早稲田卒業後、SCSKに入社し、独立してビズシークを創業。ビズシークが楽天に買収され、オークション担当役員に。そこで楽天球団創設に関わる。退職後、個人投資家をやりながらクロコスを立ち上げ。ヤフーに買収され、社長まで登り詰め退任。現在はboost capitalを設立。

1. 凡人でも素質がなくても成功できる
勝率を意識し、事業立ち上げのフレームワークを理解すれば起業は凡人でも可能。フレームワークは下記の3点。
①最低限達成すべきゴールを決めて、事業のセンターピンを見極める
②仮説を立て、テストを繰り返して、ゴールに最短で到達する正解を見つける
③見つかった正解を徹底的に実行する
これを理解していれば、イノベーションもアイデアもなくて良い。事業づくりにおいて大切なスキルはエグゼキューション。
なお、判断に迷ったら常に勝てる可能性が高い方を選ぶ。

2. ゴール設定ですべては決まる
楽天球団立ち上げという新規事業で最初に考えたのは最低限の目標(51点)を見極めること。球団で言えば、」選手が揃い、スタジアムが完成し、チケット販売した試合が観戦できること」まずはここを目指して走り、そこから積み上げている。成功の要因は考えるのではなく、適切な問いを立て、調べること。悩んだり、欲しい答えが曖昧な粗い調査依頼ではダメ。

3. その打ち出し角度は正しいか
初年度はチームの強さに頼らない経営を目指し、観客が来るだけで楽しめる球場のエンターテインメント化を設計。ディズニーランドなどから学び、収益力を高めるために球団と球場の一体経営も実現。とにかくセンターピンを見極め、センターピンを倒すことに集中する。そうすれば周辺のピンは勝手に倒れる。ピンを外した間違った方向に走り出したら、ゴールには辿り着けない。
※孫さんのナマズ効果

4. 根源的欲求を見極める
成功する事業は、お客さんの根源的なニーズを満たしているかどうか。また、それを発揮する土俵をどこにするか。
土俵の見極めは、「市場の拡大性(伸びているほど成功しやすい)、市場の寡占度合い(寡占プレーヤーがいると難度が高い)、デジタル化の進捗(遅れているほど勝てる)」起業家は大抵過去の自分の経験の延長で考えるが、大きな企業を作るには未経験の分野にも意識的に目を向けるべき。未経験領域の方が、新しい視点で事業を見られる可能性がある。
例1 スターフェスティバル(美味しい/そうな弁当が食べたい)
売れる弁当屋の法則は写真の綺麗さと材料であると仮説を立て実践したところ大当たり。ウーバーの先駆け。
例2 ナビタスクリニック立川(便利なクリニック)
医療サービスのグレードアップを考え、サービス、価格以外の要件を具体化。結果的に立地、営業時間、ホスピタリティが要素に。駅ナカ、夜まで営業、有名大学卒医師による丁寧な診察を売りに事業展開。
例3 nanapi(何かに成熟したい)
もっと知りたいという知識欲を満たすため、ハウツーのデータベースを目指して創業。(KDDIに買収され今は終了)
根源的欲求はSNSなどに。なぜいいねを押したかを考える。また当たり前を異常にやると面白くもなる(豆まき)。電話帳をランダムに開いて成長仮説を考えるのは良いトレーニング。いまなら四季報か。
※メンバー全員にやり取りを見せる

5. Howは試行錯誤とスピード勝負
センターピンを決めることが戦略、センターピンの倒し方は戦術。戦術にはトライアンドエラーがつきもの。仮説を立てて、小さく検証することを繰り返す。検証は不確定要素がある時に行う。効果が明らかな出店料無料化などは検証不要。事業は一発では当たらない。優れた起業家ほど失敗の数が多く、そこから学んでいる。

6. しつこい人が最後は残る
自分が思いついたアイディアは大抵他の人が考えたことの後追いだが、それを徹底的に粘り強く実行できる人は少ない。しつこく、利己的であることは起業家としては必要。このスキルは後天的にも身につく。ただし、撤退などを決めたら即逃げる。逃げ足の速さも大切。
※どの部分を異常にすれば差別化できるか考える

7. ワンフレーズが意識を変える
判断基準をシンプルな言葉に落とし込むと、公式化され、現場でどんどん判断できるようになる。ヤフーのいいサービスの要件(正しいマーケット設定、基本機能が提供されていること、最高のUIUX、驚きと感動、結果としてのインパクト、ビジネスモデルとグループ貢献があること)自分で決められると社員に自信がつき、組織が活性化する。目標は数字より希望。小銭をなくして世の中を変えよう。数字は幹部が握る。一度成功すると、何度も挑戦できるようになる。挑戦できる環境はリーダーが用意すべき最高の勉強場。
※3の法則:マネジメントの壁

8. 決められない状態を作らない
危機が起きるのは往々にして意思決定ができない状態に陥ったとき。決められないリーダーや意思決定が持ち越しになることで起こる。とにかく決めて動くことが大切。リーダーが何かの事情で判断できない時も、現場で意思決定できるよう権限委譲と判断プロセスを可視化しておくことが重要。スラックで全共有。間違える可能性があっても前に進めることが一番の危機回避。

9. 仮説を立て、問い続ける
やることがなかったら人に会う
あらかじめ答えを持っておく
変化を生み出すために、深く考えずに今の環境を変える。すると次の扉が開く
場を作れる人に
一生付き合える仲間をつくる
世の中は課題だらけ
人のマネから始めてOK
成功体験が成長を加速



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感想投稿日 : 2025年2月25日
本棚登録日 : 2025年2月24日

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