聖エセルドレダ女学院の殺人 (創元推理文庫)

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本棚登録 : 201
レビュー : 19
まるもっちーさん 小説   読み終わった 

好きにならないわけがない!

最初にまず何故この七人の女の子たちがこのエセルドレダ女学院に入れられて、そして帰りたくないかが明かされる。ワクワクドキドキしたまま、晩餐の席でいきなり院長とその弟がぱったり死んでしまう…
彼女たちは意外に冷静で、冷酷だった。死んだ二人にはちっとも愛を持っていなかった。
気転のキティがささやく。この二人ひそかに埋めてしまって、私たち七人だけで生きていかない?だって私たち、初めてできた姉妹なんだもの…。
「私たちは自分らしくいたいだけ」
他の六人は、新しい希望に胸を高鳴らせ、出来もしないはずのおかしなおかしな計画に、乗っかってしまう。
するとどういうわけか、来客の少ないはずの女学院に、わらわらと人が集まり出す。
彼女たちは意外な特技を発揮しながらそれぞれの窮地を切り抜けていく。

好きにならないわけがない。
二人を殺したのも謎を解くのも、彼女たちに救いを差し出すのも、警官や医者に張り合うほどの知識を見せるのも、「誰でもない彼女たち」だから。

彼女たちは皮肉にも、あまり好いていなかった周りの大人たちのもう一つの面に気づかされる。大嫌いだった院長姉弟を愛する人がいた。その人たちの素顔に触れる。不運か幸運か、院長先生の甥と義理の妹?(このへんよくわかんなかった)もこの女学院を訪ねてきてしまう。
そして、気転のキティは彼女が心から愛して想ってはいたが、「いないもの」として扱っていた下働きのメイドに、自分たちのふるまいによって何か違った道はなかったのか、とひとり述解する。ここが好き。ふとした傲慢さに気づくこと、勝手に自分たちの都合で解雇する彼女を哀れに思うことを知る。
そして男なんてまっぴらのルイーズ以外は想う男性も見つけてしまったり。たくさんの思惑が交錯する。
彼女たちは決して一枚岩でなく、お互い疑ったり邪険にしたりもする。この中に院長先生を殺した子がいるの?と。何もかも三人目の犠牲者が出てから急展開に。

がんばる女の子大好きなので本当に楽しかったです。ルイーズが好きで感情移入して読んだのでだいぶメリー・ジェーンにいらついたり。次にお気に入りはエリナ。
わんわんの方のアルドスの描写に力が入っていたので、作者さん犬好きですね?とニヤニヤしていたらいきなり毒盛られてて泣くかと思った。生きてて良かった!

結局まんまと大団円!最高の結末でした。警官をゆするミセスゴッディングの強さときたら。
ミステリーとしても納得というか、気になる伏線全部回収されてて驚きました。
しつけ学校というものの存在にクラクラしたり、当時の知識技術空気風俗化粧品流行歌…すべて完璧すぎて、ひれ伏すしかない。
楽しかったです。次作があるなら楽しみ!

ちょいと読み返してバーンズの翌朝のセリフ見たらまあ怪しいというかなるほどなみたいな。キティは気づいてないけど。
「オールドミス」という侮蔑語に引っかかったことも付け加えておきます。あの頃の事情としても。

レビュー投稿日
2018年4月29日
読了日
2018年4月29日
本棚登録日
2018年4月26日
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