ビーグル号航海記 下 (岩波文庫 青 912-3)

  • 岩波書店 (1961年2月25日発売)
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『種の起源』ダーウィンの世界一周航海記。
イギリスから始まりカナリア諸島を抜けて西アフリカのカーボヴェルデからブラジルへ、そこから南米をぐるっと回ってチリ・ペルーからガラパゴス、タヒチ、ニュージーランド、オーストラリア→タスマニア島、喜望峰を抜けてセントヘレナにアセンション、最後にブラジルにちょっと寄ってアゾレスからのイギリスへ。
大まかなコースはこんな感じでした。
思ったよりガラパゴスの逗留は短くて、チリが長かったのかなぁ。
数ヶ月かけて登山の旅をしてましたし。陸路が意外と多かったですね。
スマホも何もない時代に、船との連絡もろくに取れなかったろうによくぞここまでの旅ができたなぁと。
現代でも同じ道筋をと思うと、恐れおののく距離です。
チリでは津波と家屋倒壊が起きる規模の大地震にも遭ったようで、さぞや恐ろしかったでしょうね。
動植物はもちろんのこと、地質にも興味をかなり割いていたのが印象的でした。雷管石や化石掘りもしたり。
あとガラパゴスの亀、めっちゃ食べられてた…。そりゃ滅びるわ…。
ダンピア(ダンピール表記)の名前が一回だけ出てきたので、あの航海誌も読んでたのかな。

タヒチでは現地住民の朗らかさにホッとした様子で、オーストラリアでは直轄の植民地なので気の緩みも見えたり。
まぁでもスペイン人のことをあれこれ言ってたけど、イギリスもなかなかにやらかしてますね。
タスマニアに移入して現地人が邪魔だからととっ捕まえて別の島に追放したり。
ヨーロッパ人の無自覚の傲慢さが垣間見られたところです。
アフリカの奴隷に対しては心痛めるそぶりもあったけど、現地住民を同じ人間と思えてない感じですもんねぇ。割とディスってるところも多いです。
そりゃ言葉もろくに通じない尊厳すら奪うような敵が攻めてきたら、原住民だって命がけで抗うの当然でしょうがと…。
ヨーロッパの方が進んでるって、より効率的に人を殺すために進まざるをえなかっただけって思いますけどね。
現代でもそういう意識、根底には残ってる気がします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外歴史系
感想投稿日 : 2023年2月22日
読了日 : 2023年2月20日
本棚登録日 : 2022年11月29日

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