30代半ば過ぎ、将来のことも考え<私>が一大決心して購入した中古マンションに前住人の幽霊が……。相手は<私>の存在に気付いておらず、コミュニケーションは存在しないけれど、ていねいに暮らしていたことがうかがえる部屋や、“判で押したような”きまじめな立ち居振る舞いから、前の住人・大江さんの人となりが少しずつ伝わってくる。この感じは、古本の中から映画の半券など前の持ち主の痕跡を見つけた時、その人を勝手に想像してちょっとうれしくなる感覚と似ているかもしれない。もしかして空気のような存在との共同生活って一つの理想では?。ふっと気持ちが開かれてゆくような読後感が今の季節にとても合う。(2019 シングルカット作品)
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
国内短篇
- 感想投稿日 : 2019年3月25日
- 読了日 : 2019年3月24日
- 本棚登録日 : 2019年3月24日
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