原価計算だけで満足していませんか!―利用目的別原価管理のすすめ

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レビュー : 5
著者 :
Mossanさん ●財務・会計(本)   読み終わった 

【感想】
ケース・担当者別に記載してあるため、イメージしやすい。

【まとめ】
◇ワナ1のまとめ◇
「財務会計と管理会計(原価管理)の目的は全くちがう」
・財務会計の目的は税金申告と配当報告 ・管理会計の目的は経営戦略作りと戦略の実行 「財務会計と管理会計の計算内容は全く違う」
・財務会計は、法律で決まった方法で計算する(会計基準という)
・管理会計は、企業ごとに最適な方法で考える必要がある
結論・・・財務会計と管理会計は似て非なるものである

◇ワナ2のまとめ◇
「製品別原価の計算はできるだけ簡単な方法を使うべき」
・間接費の製品への割り付け方法は賃率だけでない
・製品ごとの加工時間を測定することが困難なときは別の基準を使う
たとえば・・・製品重量、製品面積、製品価格、製品材料費
結論・・・集計は簡単にすませ、対策に時間をかける

◇ワナ3のまとめ◇
「原価集計ではすべてを実績値で計算する必要はない」
改善しようとする項目だけを実績値で計算すればよい。たとえば、部品のコストダウンが中心なら、加工時間や賃率は前年実績を使えば良い。
行程改善が中心なら、部品価格は予算値でも良い

結論・・・何のためにやる原価集計かをいつも考えること

◇ワナ4のまとめ◇
「原価管理資料を作ってもコストは下がらない」
・コストダウン活動につながらない資料は作らない
・コストダウン活動を行わない人への資料は作らない
・コストダウン活動を行わない人ほど細かい資料を欲しがる
・結論・・・内向きの原価管理(単なる集計)から外向き
の原価管理(コストダウン活動につながる管理)へ!

◇ワナ5のまとめ◇
「コストダウン部門の真のニーズを把握すること」
・製品別原価の集計だけではコストダウンが進まないケースがある
・原価集計するときには、まずそのデータの使われ方を調査すること

◇ワナ6のまとめ◇
「コストダウンにつながらない配賦率はエイヤーで十分」
・詳しい配賦率を決めればコストダウンが進むとは限らない
・配賦率を緻密に計算する部門は、その計算自身が自分の存在価値なので、外部からもっと簡単な方法で良いと指摘しないと、いつまでも緻密な計算を続ける

◇ワナ7のまとめ◇
「本当に最新の原価というものは存在しない」
・分析もとになるデータには予想値が多く含まれている
・何のために使うかを考えて、データの鮮度と精度を決める
・データの鮮度と精度を上げるには、高額なシステムと分析するメンバーを投入する必要があるので、『投資効果』を判断するべき

◇ワナ8のまとめ◇
「高性能な製品の設計とコストダウンは両立できる」
・高性能な製品を設計するからといってコストをおろそかにできるわけではない
・どんなに性能が良くても、目標原価をクリアしないと設計者は食べて行けない
・複雑な製品ほど、各部品の設計者が知恵を出し合うべき

◇ワナ9のまとめ◇
「ひとは緊急性のある仕事を優先する」
・納期管理に追われるとコストダウン交渉は後回しになる
・納期管理とコストダウンの担当者は分けること

◇ワナ10のまとめ◇
「売上至上主義では赤字が拡大」
・営業担当は市場売価だけでなく、工場の原価も常に見ておくこと
・営業担当は商品企画に参加し、付加価値の高い(原価は安く、売価は高い)商品を提案すること

◇ワナ11のまとめ◇
「願望だけでの商品企画では企画倒れになりやすい」
・競合製品のコスト分析(ティアダウン)を行い、コスト目標を決める
・決めたコスト目標を原価企画活動で開発段階にクリアする

◇ワナ12のまとめ◇
「見せ掛けのコストダウンに注意」
・工数削減により真のコストダウンを実現するには、内製化などで受け皿となる作業を作るか、作業者数を調整しやすいように期間工やパートタイマーを採用しておく必要がある

◇ワナ13のまとめ
「投資回収できない設備は開発しない」
①設備自身のコストを下げる
②設備の共有化を進め、投資する設備の数を減らす
③設備で作る製品の生産数を増やす
④設備で作る製品の利益率を上げる

◇ワナ14のまとめ
「作業効率を管理する方法は作業時間以外にもある」
・セル生産のように毎日行程を改善し、セル間で作業時間にバラツキがある現場は、作業時間より「1日の生産数」で管理するべき
・デジカメのように製品原価の加工費の比率が10%以下のものは、実際作業時間の管理は省略しても良い

◇ワナ15のまとめ◇
・部品のコストダウン提案を行うためにはその部品の知識が必要
・自社で作っていない部品の知識を身に付けるために、普段から部品メーカーに足を運ぶこと

●受注生産型企業のポイント●
「受注生産型企業の実際原価」
・受注生産型企業では、工場の稼働率の変化が激しいので(注文が減ると稼働率はすぐに下がる)。 
・そのために、年の初めに設定した標準賃率と実際賃率の差が大きくなることが多い。
・結局、正確な製品ごとの実際原価は、期末にその年の工場稼働率と賃率が明らかになるまで分からない。
⇒このような問題に対応するために、受注生産型企業では3か月とか半年ごとに標準賃率を再設定(修正)しながら実際原価を集計している。


「稼働率と製品原価」
受注生産型企業では、稼働率の実績が予想より低くなったときには、賃率が上がり、最終的には製品原価が上がる。

●見込生産型企業のポイント●
・実現性がある目標原価の設定は重要である。
・しかし、市場での競合企業とのコスト競争で勝てない製品を開発しても、新製品を開発する意味がない。
・従来の設計の延長線上では、競合企業に勝てない場合は、新製品の開発段階で「ティアダウンなどを使った新しいコスト設計への取り組み」が必要である。


◇アクションシート
*レベル1*
現状:期末の工場全体の製造原価でどんぶりコストダウンを行っている
今後のアクション:集計した結果、赤字が判明した製品にコストダウンを実施する
*レベル2*
現状:製品別原価を集計しているがコストダウンには使っていない
今後のアクション:集計した結果、赤字が判明した製品にコストダウンを実施する
*レベル3*
現状:製造が始まってからコストダウンを行っている
今後のアクション:設計の段階からコストダウンを進める
(見込み生産のみ)
*レベル4*
現状:開発段階からのコストダウンを行っている
今後のアクション:ティアダウン、原価企画、開発購買をさらに進める

レビュー投稿日
2014年6月7日
読了日
2014年6月7日
本棚登録日
2014年6月7日
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