魍魎の匣 (講談社ノベルス)

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本棚登録 : 3911
レビュー : 419
著者 :
mounntainnさん 大衆文学   読み終わった 

京極夏彦は悪魔の憑く天才なのか。
否、魍魎の憑く天才なのだろう。
そもそも人間がこんなものを書けるのか。
キチガイでなければこんな本は
書けないんじゃないだろうか。
世にこんな作品があるのならば
推理小説家を志す者たちは
絶望するんじゃないだろうか。

ーーが読んだ第1の感想。
大衆文学としての1つの集大成をここにみた。

まず本の厚みもさることながら
その内容の重厚さ。濃厚さ。
これだけの長いストーリーながら
一片の無駄さも感じられない
ストーリーの組み立ての圧倒的技巧。

謎解きに約100ページを費やしながらも
その謎1つ1つの美しいまでの完璧な綿密さ
そして裏切りと衝撃たるや。

違和感を感じていた足りないピースを
1つずつ正確に埋めて構築されていく
パズルの完成画には多くの衝撃を与えられたが
中でも個人的に肝を抜かれたのは
美馬坂近代医学研究所の正体、
そして何より旧仮名遣いの作中作の全容。

1ページ目を開けた時点で
既に京極夏彦が構築した摩天楼の片鱗を
知らず知らず覗かされていたことに
読了した後に気づかされる。

また、ストーリーの展開の静と動の
使い分けの巧さにも舌を巻く。

雪崩の様に襲いかかる展開の猛威を断ち切る様な
随所に見られる余韻を残す幕の切り方。

魍魎に憑かれていたのは京極夏彦の本を開き
作者の術中に容易に捉えられていた者達の方なのであろう。

レビュー投稿日
2017年8月18日
読了日
2016年12月21日
本棚登録日
2017年8月18日
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