エディプス神話もエデンの園といった起源神話も持たず、女/男、生物/機械といった二項対立の境界に位置する者=サイボーグをフェニミズムのイメージとして捉えた『サイボーグ宣言』、シュペングラー風の全体的・父権的思考と読み、「なにかが欠落している」=全体性の欠如を指摘し、反論する黒人男性ゲイ作家サミュエル・ディレイニーの論考『サイボーグ・フェニミズム』、『サイボーグ宣言』でも扱われているアン・マキャフリイの『歌う船』の主人公たるサイボーグに何故性差を付与したのかという男性から女性に性転換しレズビアンの作家ジェシカ・アマンダ・サーモンスンの論考『なぜジェンダーを呼び戻すのか?』、この3点のテクストを主に収録した刺激的な論考集。機械はすでに女性であり、女性的能力であり女性的肉体組織の一側面であるから、支配も威嚇をしない機械に対して責任を負う、と、ダナ・ハラウェイは高らかに宣言する。「わたしたちはすでにみなサイボーグなのだ」と。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
評論
- 感想投稿日 : 2011年2月1日
- 読了日 : 2011年2月1日
- 本棚登録日 : 2010年9月7日
みんなの感想をみる