庄野潤三は不思議な作家だ。決して物語の筋で読ませるわけではなく、作家の身の回りに起きた事々を描いているだけなのに、外的要因、内的要因で傷つきささくれ立ち固くなった心にまるで慈雨のように言葉が染み渡っていく。1冊読了すれば、心は水を吸い込んだスポンジの様にしなしなと回復している。私は庄野潤三の文学を愛するひとりとして、この本がこんな不思議な作家に触れる端緒となれば、と願わずにいられない。最後の編者の文章で2012年に次男和也さんが早世されたのを知った。『明夫と良二』でおなじみの良二である。ご冥福を祈りたい。

2017年10月24日

読書状況 読み終わった [2017年10月24日]
カテゴリ 小説
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新幹線の中で読んでいたんだけど、ヒジリンが北島マヤは僕が頂きますのくだりで、「ヒジリン超ヤベー、マジヤベー」と立ち上がって言ってしまって車内の視線を浴びました。紅天女は亜弓さんでいいよもう。

2012年10月19日

読書状況 読み終わった [2012年10月19日]
カテゴリ コミックス

附録のバッグ目当てに購入。

2012年10月19日

読書状況 読み終わった [2012年10月19日]
カテゴリ その他

明治生まれの女性達52人の評伝。今よりも父権制で女は家に縛り付けられている時代にこの本に登場する女性は男社会の中に飛び込み、はっきりと自己主張をし、人生を駆け抜けていく。女性ジャーナリスト第一号の清水紫琴、「青踏」の平塚らいてう、歌人与謝野晶子、救世軍を支えた山室機恵子、日本初の女医萩野吟子、女優松井須磨子、大本教開祖出口なお等々。戦後まで生きた人は思いの外少なく、若くして自殺や肺結核で命を落としている。「青踏」以降の女性運動、社会主義者にも焦点を当てる。こういう人達がいたからこそ現在の女性の地位がある。

2012年8月3日

読書状況 読み終わった [2012年8月3日]
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オーケンがヤングの頃出逢った様々な女の子の愛と性について書かれたおバカエッセイ。目次を見るだけで、「トランプよ」と言う女、「ゴバッシュ」と言う女、宗教の女、指令を出す女、金持ちの女、久しぶりに会った女、デカい女、密林の女、挨拶のよくできる女、みちのくの女等々。実話か妄想かわからないのが特徴。巻末の江川達也との対談がおもしろかった。

2012年7月21日

読書状況 読み終わった [2012年7月21日]
カテゴリ エッセイ

『鏡の中の少女』の続編。フランチェスカ(拒食症になった時に付けた名前はケサ)が退院するところから物語は始まる。太りたくないのに強制的に管で1日2000kcalの栄養を摂取させられるが、次第に自分の体重をコントロールするという思いは遠ざかり始める。ついた脂肪を筋肉に代えようと体操クラブに入るがそこで出逢ったディアドレは過食嘔吐を繰り返す少女だった。自分を見ているようなディアドレは死に、ケサは酷くショックを受ける。女性になる恐怖、自分の居場所を求め、男の子が怖いと感じている心が少しづつ再生していく物語。

2012年7月20日

読書状況 読み終わった [2012年7月20日]
カテゴリ 小説

小説『死の棘』の始まりに呼応するように昭和29年9月30日の日記から始まり、『死の棘』の終わりに当たる昭和30年6月6日を過ぎ、その年の大晦日まで綴られている日記。小説の睡眠療法のために夫婦揃って入院し、4ヶ月を経て退院し、退院したその足で夫人の生まれ故郷に近い奄美大島の名瀬市に子供達は一足先に行っているが、家族4人で暮らす。入院中は睡眠療法や冬眠療法などを受けるも全快せずに奄美大島へ。小説よりも淡々と書かれているために逆に小説よりも壮絶な、夫婦とは何かを教えてくれる記録。

2012年7月15日

読書状況 読み終わった [2012年7月15日]
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『精神科ER緊急救命室』の続編といえる本書。『精神科ER緊急救命室』では主に鬱病と統合失調症が紹介されていたのと比べて、この本ではそれに加えて境界性パーソナリティ障害や鬱病時の躁転、解離性障害、広汎性発達障害などが紹介されているが、いずれも初診時の事のみで、どうしたら寛解まで持って行けるのかという踏み込みが足らない気がした。

2012年7月16日

読書状況 読み終わった [2012年7月16日]
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年間自殺者が3万人を超えるこの国、鬱病患者に危機感を持っている著者が鬱病の症例を5つあげ、また最近増えている他罰的な鬱状態で、心療内科、精神科を受診する「鬱気分」な人々(この本の中で著者はD'な人々という呼び名を用いている)の症例をやはり5つあげる。鬱病ではない、鬱気分な人々の原因は、考え方、性格のクセであると言い、実際に使用しているチェックシートを多数巻末に掲載。精神科の敷居が昔よりも低くなっている事を実感した。

2012年7月18日

読書状況 読み終わった [2012年7月18日]
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タイトルは『サブカルで食う』となっていて、若いサブルなくん、サブル子ちゃん向けの本の体裁を取りながら、実は「大槻ケンヂ」の自伝にもなっている。自分を表現したい物にとって必要なのは「才能、運、継続」と言い、継続していくための情熱と学校以外での本を読んだり映画を見たりといったアウトプットを前提としたインプットである「自習」が大切と強調する。この本は別にサブカル以外の何にでも適用できる事が出来るんじゃないかな。オーケン流自己啓発本かもしれない。

2012年7月22日

読書状況 読み終わった [2012年7月22日]
カテゴリ エッセイ

共にヨーロッパや日本国内を旅した夫人が紡ぎ出す思い出。書斎に籠もり旅をしなかった澁澤の、最初は書物などで見た「確認の旅」から次第に旅慣れるようになり「発見の旅」への移行。寺社仏閣を訪ねるのが好きだった澁澤。最期の旅になった山口、次の執筆作品の予定だった『玉虫物語』の舞台になる筈だった高野山への旅は果たされず。旅の予定を組んだり、食事の後お金を払ったり、切符を買う事が出来ない、唯一出来るのは古本屋の支払いだけという、旅先で植物や貝殻を喜んで拾う少年のよう。表紙のボストンバッグはフランスで買った澁澤愛用の物。

2012年7月29日

読書状況 読み終わった [2012年7月29日]
カテゴリ エッセイ

亡き父が小説家志望だったため、小説家に対する関心が強まり、ちょうど雑誌に募集されていたユーモア作家として一世を風靡している獅子文六邸にお手伝いさんとして住み込んだ著者の日常見聞録。幸子夫人や獅子文六が60歳の時もうけた小学5年生の敦夫君と文六先生の家族風景。ちょうど住み込んだ時期が劇団文学座の激震期にあたり、応接室にひっきりなしに訪れる、水谷八重子や杉村春子、岸田今日子、芥川比呂志ら俳優達や小林秀雄、三島由紀夫ら文学者達。その来訪者に対して抜群の記憶力でもって生き生きと描写されている。

2012年9月13日

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カテゴリ エッセイ

夢野久作原作の『瓶詰の地獄』、『聖アントワーヌの誘惑』、『黄金餅』、オリジナルの『かわいそうな姉』の4編を収録。めくるめく地獄絵図、暗黒の花束。

2012年7月29日

読書状況 読み終わった [2012年7月29日]
カテゴリ コミックス
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菊坂ホテルを舞台にそのホテルの持ち主の娘八重子の目から通してみた大正ロマン。このホテルには竹久夢二と恋人お葉、谷崎潤一郎が暮らす。その周りに集まる佐藤春夫、伊藤晴雨、今東光、菊池寛、芥川龍之介、斎藤茂吉らも登場。東京大空襲で運命を終えた当時文京区本郷に実在した「菊富士ホテル」がモデル。夢二とお葉の愛と葛藤、谷崎の孤高が描かれた作品。

2012年7月31日

読書状況 読み終わった [2012年7月31日]
カテゴリ コミックス

平安時代の物語『落窪物語』を現代語にしてわかりやすく平安時代当時の考え方も加えたとても読みやすい物語。古今東西に灰かぶり姫のジャンルがあるが、これは日本版シンデレラ物語。父や継母達に低く扱われ、落ち窪んだ部屋に閉じこめられ、高慢な異母姉妹達や継母からお針子として扱われている可哀相な姫。この姫の味方になる女房の阿漕と夫の帯刀、姫を見初める右近の少将が活躍し、姫を少将の館へ迎え入れる。心の綺麗な姫は館に引き取られた後も父や継母、異母姉妹達に怨みを持たず、分け隔て無く接する。原典と違い約半分程の抄訳。

2012年8月28日

読書状況 読み終わった [2012年8月28日]
カテゴリ 小説
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インタビュー形式で『千夜千冊』全七巻を一巻ずつ語る体裁。
松岡正剛は説明上手だなぁ。
自分がニガテと思っているジャンル(特に理系)の本も、「読んでみようかな」という気にさせられる。
しかし、『千夜千冊』が買いたくなる罠も張ってあります(笑)。
読みたい本が増えて嬉しい悲鳴が上がる、そういう本。

2012年6月29日

読書状況 読み終わった [2012年6月29日]
カテゴリ その他

『デリラ』、『ミンク』、『デンマ』、『マンボ』、『ピアス』、『ゼイリ』、『ジビカ』の7編を収録。どの物語も主人公は神田憂という名を持つ今日こそ精神科に行こうと予約までしている女性。行こうとしているのにふらふらとアルバイトに雇われたり、ピアスを入れてしまったり。脇役は年上の男性「カイズさん」、年下の若者「ウツイくん」という名を持つ2人が共通して配され、主人公の前に出現する。暴力的でエロティックな描写、暴走する思考と被害妄想、ああ言えばこう言う、というタイプの主人公のたたみかける言葉のリズム感で読ませる文体。

2012年6月25日

読書状況 読み終わった [2012年6月25日]
カテゴリ 小説

16歳の男子高校生、江戸翠。早く大人になりたくて、でもふつうの日々を送る、何事を見ても「ふつう」としか感じ取れない不自由を感じている。小学校からの同級生の花田は現実に「シミシミ」してしまう反発からセーラー服を着て高校へ通い、彼女の平山水絵は立ち止まる事に不安を感じている。翠を取り巻くちょっと変わった家庭環境。結婚していない翠の母、おばあさんと3人で暮らし、翠の「遺伝子提供者」である大鳥さんは度々住まいを訪れる。そんな夏休み、翠は花田と旅に出る。少しの不安と生きる事への悩みを抱えた主人公達が繰り広げる青春。

2012年6月24日

読書状況 読み終わった [2012年6月24日]
カテゴリ 借りた本
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古道具屋で働くヒトミさんは同じ店で働く無口なタケオが気になり始め、食事をするようになり1回だけセックスをするが、何でも無い事から雲行きが怪しくなる。女にだらしのない主の中野さんやお姉さんのマサヨさん、中野さんの愛人サキ子さんとの友情と呼べるようなほんわかした交流、タケオとヒトミさんのうまくいかないじれったい恋。そんな全部を包んでいた古道具屋中野商店は解散し、それぞれ別の人生を乗せて最後の章の「パンチングボール」に収束していく。川上弘美の小説には靄の中からセックスと死が時々ふっと立ち現れる。

2012年6月21日

読書状況 読み終わった [2012年6月21日]
カテゴリ 借りた本
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魚屋「魚春」に2人で住む男達、買い物に来る塾講師の女、その塾に通う高校生、その高校生の小学校時代の同級生、たこ焼き屋「ロマン」常連客の奥さんを介護するヘルパー、その隣の家の老女とその嫁、飲み屋「ぶどう屋」の板さんとおかみさん、そのぶどう屋で働く女子大生、「ロマン」で働くあけみと同じアパートに住む占い師、あけみと仲良くなる雨の写真を撮るのが趣味なOL、幼い頃魚春の隣に住んでいた中年男性、そして魚春の死んだおばさん。小さな街の商店街で暮らすそれぞれの人々が織りなす人生を描いた連作短編集。登場する皆が愛おしい。

2015年7月27日

読書状況 読み終わった [2015年7月27日]
カテゴリ 借りた本
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2007年3月〜2010年2月までの日記。1年に1回行く美容院で白髪を染めてもらったり、赤いパンツを履いたり黒いパンツを履くとやる気が出たり紫のパンツも履いてみたり、少しだけぜんそくになったり、携帯電話が怖いから神棚と呼んでいる本棚の上に乗せたり、大阪や池袋に行ったり、お風呂から出てバスタオルで体を拭いていたら小さな蟻が腕を歩いていたり、相変わらずお酒を飲みに行って二日酔いになったり、散歩をしたりのたんたんとした日々。神保町から銀座まで歩くその健脚さに驚く。ほんとうの事率も五分の四から十分の九へ上昇。

2015年7月27日

読書状況 読み終わった [2015年7月27日]
カテゴリ エッセイ
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2004年3月から2007年2月までの日記を収録。原稿を書き、散歩をし、マーケットに行って夕食を作り、免許の更新をして、耳鼻科に行き、くぜさんの訃報に写真を撫でて、居酒屋で飲んで、怒ったり笑ったり泣いたり東京音頭を踊ったりする、たんたんとして、時にでこぼこ、どこかシュールな、そんな日常。川上さんのこどもがお母さんに対してどこか温かくも醒めた目線でおもしろい。「少しずつ食べ過ぎ」にはワタシも当てはまるからぞぉっとするけれど、川上さんは1kgしか太らないんだなぁ。羨ましい。

2012年6月9日

読書状況 読み終わった [2012年6月9日]
カテゴリ エッセイ
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ポップでモダンな豆千代風コーディネイトと影響されてきた江戸文化の心、自然と身につく着物の決まり事なと、初心者にもわかりやすく説いた着物本。「おわりに」にでもあるように、高価な個人のコレクション級の珍しい柄、おもしろ柄などでコーディネイトしていない、手が届く範囲の(それでも今はもう高価になってしまっているけれど)値段のアンティーク着物とオリジナル着物、帯で構成されコーディネイトされた気姿の数々に目を皿のようにして見いってしまう。ポップなんだけど派手じゃない、江戸の粋をスパイスにした、そんなコーディネイト。

2012年6月8日

読書状況 読み終わった [2012年6月8日]
カテゴリ その他

2001年3月から2004年2月までの日記ともエッセイともつかない何月某日の体裁を取った日記風読み物。5分の4はホントと帯に書いてあるからホントじゃないところを気にして読んでしまった。高円寺の商店街から海が見えるとか、趣味をレース編みにしようと考えるところとかめかぶのところとか。ほのぼのとして、少しおかしみのある、そんな日常。風邪を引いたので6年振りくらいに医者に行くのによそゆきのブラジャーとパンツにしたのにお医者さんは聴診器を服の上から当てて釈然としない川上さんが可笑しい。

2012年6月8日

読書状況 読み終わった [2012年6月8日]
カテゴリ エッセイ
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