新婚の夫が夜な夜な土蔵へ向かい後を追った妻は扉を隔てて睦言を聞く。夫の愛した女性は人形だった、江戸川乱歩の作品中ワタシが一番偏愛する『人でなしの恋』、部屋のベッドの下に光る緑の瞳。その瞳に神経をかき乱され発作を起こして死ぬもその蛇は剥製の蛇だった、ビアス『人間と蛇』、放蕩の限りを尽くす「私」と同姓同名、誕生日も一緒、顔立ち背格好服装まで何から何まで一緒のかつての同級生が、私の行く先々に表れ邪魔をする。この男は何物なのか、葬り去ってしまったのは私の良心なのか、ポーの『ウィリアム・ウィルソン』の3篇を収録。

2012年1月10日

読書状況 読み終わった [2012年1月10日]
カテゴリ 小説
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