昨年の話題作がブックオフで安く売られていたので、遅ればせながらという感じですが読みました。
久しぶりに哲学的な問題に真剣に取り組まされて、本当に面白かった。
ただ、哲学に一切触れたことのない人が、初めて読むにしては、難しいところもあったのではないかと思う。具体的な事例で問題提起をしている段階は誰でも興味を持って読めるが、観念的な話になってくると、私もなかなか難しくて、読み進まない箇所もあった。
リバタリアンvsコミュニタリアンの対立は、私の中で「セックスとオナニーのジレンマ」と名付けられている。
高校の時に自分でその哲学的な問いに気付き、勝手に名付けた。今になってみても、非常に良い命名だったと思っている。
著者は言う。複雑な問題について色々な観点から深く議論をする事が重要である。
何故か。
複雑な問題には、根本的ないくつかの重要な価値観が対立している事が多い。
「人を殺してはいけない」
「人間は誰しも自由な存在だ」
「犯罪を犯したものは相応の罰を受ける必要がある」
「努力をして頑張った人は報われるべきだ」
それぞれが対立するケースがあった時、何を優先すべきなのか。いくら議論をしても、ひとつの答えにたどり着く事はない。しかし、さまざまな人といろんな角度から議論をすることで、自分が本当に大切にしたいと考える事が、徐々に明確に浮かび上がってくる。
日本は、会社でも学校でもディベートが足りなすぎる。練習不足なので、論争が建設的な批評にならずに、だんだん感情的になってきてしまう。
まずは身近な事から議論の練習だ。
- 感想投稿日 : 2013年8月28日
- 読了日 : 2011年1月22日
- 本棚登録日 : 2011年1月22日
みんなの感想をみる