
明治憲法について、「文明史」的観点からその成立史を描く。岩倉使節団から書き起こし、伊藤がヨーロッパ留学を経て「行政を含めたconsititution」という枠組を獲得したという流れは、政治過程史的な叙述と一線を画していて非常に面白かった。ドイツやフランスの当時の状況を参酌しながら伊藤が憲法観を形成していったというのは、空間的に広い視野で憲法制定過程を位置づけるという意味で興味深い。いわゆる「マルチアーカイバル」的な手法で(2003年時点ではこの言葉はまだなかったと思うが)憲法制定史を描いている、と言えるかもしれない。
しかしこれが著者36歳のときの本か・・・すごいね。
- レビュー投稿日
- 2017年8月22日
- 読了日
- 2017年2月16日
- 本棚登録日
- 2017年8月22日
『文明史のなかの明治憲法 (講談社選書メチエ)』のレビューへのコメント
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