宇宙と星 (岩波新書 青版 247)

著者 :
  • 岩波書店 (1956年7月10日発売)
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本棚登録 : 62
感想 : 7
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 もう60年も前の本なので,内容としては古くなっているに違いありません。本書の内容にでさえ「アンドロメダ星雲までの距離が以前考えられていたよりも2倍離れていることが分かり,それによって,いろいろなものが2倍の距離に修正された」-というようなことが載っていました。望遠鏡の性能や科学の進歩によって,常に修正を加えられているのが宇宙の科学ではないかと思います。
 それでも本書を読む価値はあります。それは,本書が宇宙と星への興味をかき立ててくれるからです。しかも,説明がシロウトでも分かりやすいんです。一から説明してくれている感じです。
 たとえば,星の表面温度の説明をするのに,次のような説明があります。
「われわれは終戦直後の電力の乏しい時に,少しもあたたかくない電熱器を経験した。夕方のいわゆるピーク時には,電熱器はほとんど赤くならない。心持ち赤みがあるが,黒いままと言った方がいいくらいで全く熱くなく,とうてい炊事には使えたものではなかった。夜中になって人が寝静まる頃,電圧が上がって電熱器は白みをまし,はじめて熱を出した。電熱器の色と温度の間にはこういう関係がある。/星の色も同じことだ。赤い星は温度が低く,青白い星は温度が高い。(p.41,以下略)
 H・R図というものについても,その意味を初めて知りました。それが,星の進化と関係あるという話ももちろん初めてです。
 「宇宙と星」の入門書として。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 科学
感想投稿日 : 2017年12月30日
読了日 : 2017年12月30日
本棚登録日 : 2017年12月30日

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