古語拾遺 (岩波文庫 黄 35-1)

  • 岩波書店 (1985年3月18日発売)
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感想 : 5

古語拾遺は、平城天皇の下問に応じて大同二(806)年に斎部広成が上呈した文書である。大化の改新以来、朝廷祭祀は中臣氏が主導権を握り、斎部(忌部)氏はその下風に立たされていた。そのため、広成はここぞとばかりに忌部氏が祭祀を司る正当性を訴えたのである。その心情は、序の「蓄憤(積もり積もった憤懣)をのべまく欲す」という言葉に如実に現れている。日本書紀を下敷きにした短い文書であるが、古語についての独自の語源解釈を展開したり、天岩戸の場面で忌部氏の遠祖太玉命が活躍するなど異説も散見され、興味深い資料となっている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本史
感想投稿日 : 2012年7月11日
読了日 : 2010年3月13日
本棚登録日 : 2012年6月10日

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